ロンドンの空気・汚染状況が見えるマップ ~ PM2.5が気になったら
日本では春先になると、中国から黄砂が飛んできたり PM 2.5が増えたりして大気汚染が気になりますが、ロンドンでも大気汚染は大きな関心事です。
1952年にロンドンスモッグ(Great Smog of 1952、London Smog Disasters)という、1万人以上が死亡した大気汚染による公害事件も起きています。ロンドンは霧の街と呼ばれますが、産業革命の結果、その霧に混じって大量の石炭のススが地表に滞留し、呼吸器疾患などの原因となっていたのです。(日本で言えば以前、四日市ぜんそくなどが同じ原因で起きています)
その後、ススを出す燃料の規制や工場の排煙の規制が法律化され、また燃料が石炭から天然ガスなどに転換することで大気汚染は少しずつ改善されてきており、またヨーロッパ最大の電気バスを導入するなど対策も行ってきていますが、今もまだ年間約9,000人のロンドン住人が、大気汚染が原因で亡くなっているというイギリス政府の統計もあります。
そこで、ロンドン市長と科学技術の専門家たちにより設立された欧州環境防衛基金(EDFヨーロッパ)が作り運営しているのが、Breathe Londonという大気汚染のマップ。これを見ると、ロンドンのどの地点にどのぐらい、どんな物質があるのかが分かります。
日本で言うと、国立環境研究所が運営している「大気汚染予測システムVENUS」のようなものです(環境省の「そらまめくん」では今はPM2.5は分かりません)。ほぼリアルタイムに、モニターがある各地点の大気中のPM2.5やNO2の量を教えてくれます。
大気汚染物質の中でも、PM2.5(微小粒子状物質)はとても細かい粒子で、呼吸器疾患・循環器疾患・肺がんの増悪因子と言われる危険なものです。またNO2(二酸化窒素)も、酸性雨及び光化学オキシダントの原因物質で、呼吸器系に影響を及ぼすと言われる人体に危険なものです。
◎PM2.5の詳細は環境省HPを >> 微小粒子状物質(PM2.5)に関する情報
Breathe Londonが市内に設置したモニターは100台以上あるので、ロンドンのどの通りでこれらの物質がどのくらいあるのか、かなり細かく分かります。NO2の多いホットスポットも分かり、例えばバス庫がある地区でNO2が多いことが分かった時には、バスのアイドリングをやめさせるなどの対策を講じました。
また家庭でのエネルギー活動により、夕方の長い時間NO2が増加することや、ラッシュアワー時に増加するという傾向もはっきり確認することができました。そしてコロナウイルスによる都市封鎖(ロックダウン・2020年3月)のときには、ロックダウン開始4週間で、ロンドン中心部のNO2が20~24%も減少したことも分かりました。
もし今ロンドンにいるなら、下のURLからマップに行って、近い地点のモニターマークを探してみてください。その色によってPM2.5やNO2の量が分かるだけでなく、モニターマークをクリックすると、さらに細かいデータを見ることが出来ます。
喘息など呼吸器系に疾患のある方がロンドンに行くときには、ぜひ参考にしたいマップですね。
◆Breathe Londonのマップ >> Current air quality
◆日本のPM2.5状況 >> 国立環境研究所の大気汚染予測システムVENUS
◆これも面白いので、参考に。世界の大気汚染が分かるマップです。拡大すれば、各国の都市の大気の様子も分かります。
>> 世界の大気汚染